版 画 技 法 辞 典
メインページに戻る メインページ   版画技法についてお調べになりたい方は、こちらへ 版画技法一覧   作家別にその作家の版画作品について説明しております 作家別版画作品概略  


木 版 画
    木を彫って版を作る技法で、版画技法としては歴史が古く、
  現存している物で制作年のはっきりしている木版画は、敦煌で
  発見された木版本で869年(唐の咸通9年)作の刊記がある。
    日本では京都浄瑠璃寺の阿弥陀像体内から発見された木
  版画「阿弥陀如来像」が1047(永承2年)年作と確認されている。
    木版の技法には板目木版と木口木版とがあります。
  木版画はフランス語ではgravurue sur boisと表記し、英語では
  woodcutと表記します。
  フランス語のgravurueとは彫って作る版画全般を指します。
  (銅版画、木版画の両方の総称です)
 
木版画の紙と版木の関係図

板 目 木 版
   最も一般的な木版画技法で、木の幹を縦に切り、木目が水平に出
  るように挽いた木の板を彫って版木とする。
  浮世絵等もこの板目木版で、色の数だけ版木を作り刷り重ねて、多
  色刷りの版画が作られる。
  (一つの版に2色以上の色を乗せることも可能なので、その場合は版
  木の数は色数より少なくて済みます。)

    板目木版で有名な作家は、日本では浮世絵以外で棟方志功(本人
  は板画と呼び、色は版画の裏より手彩色で着彩しています。)がいます。
    世界的にはエドワルド・ムンク、ワリシー・カンディンスキー等の作家
  がすばらしい木版画を残しています。

木 口 木 版
   堅い木の幹を輪切りにして、その中心部の堅い部分を使って、木口
 木版用の版木を作ります
 糸の様な細かい線を描くことが可能なので、細密描写の作品に向くき、
 あまり大きな作品でなく、書籍の挿し絵や蔵書票として発達しました。
 木口版画はフランス語ではgravurue sur bois de boutと表記します。

リノカット
   リノカットはリノリュームという床材によく用いられる樹脂の板を
 木版画と同じように彫って版を作ります。
 リノリュームは木よりも柔らかいので、あまり力を必要としません。
 リノカットで有名な作家はピカソで、多数のカラーリノカットの名品を
 残しています。

紙版画
   紙版画は幼稚園や、小学校でよく使われる紙を貼って作る版画で、
 現在美術品としては、あまり使われる技法ではありません。

スタンピング
   最古の版画とされる紀元前3万年のオート・ピレネーのガルガ洞窟
壁画で、壁面に手を置いてその周りに葦の茎を使って彩土を吹き付け
 物で、現在で言うスタンピングの技法が利用された。
 現在美術品としては、あまり使われる技法ではありません。

銅版画
   銅版画は銅板を引っ掻いたり、腐食させて、銅板に溝を作り、
 その銅板にインクを塗り、の後に布などで、溝に詰まったインク
 以外のインクを拭き取り、それを紙に写し取る技法です。

   版画技法としては木版画に次いで歴史が古く,1645年には,
 アブラハム・ボスによる、「銅版画技法論」という小冊子が刊行さ
 れています。
   この小冊子は、銅版画に関する最初の教本で、銅版画の制作
 手順や作家の製作態度にまで言及した書物で、アブラハム・ボス
 の死後も19世紀に至るまで、広く、多くの版画家達に愛読されま
 した。

   銅版画はフランス語では gravre sur cuivreと表記し、
 英語では copperplate printと表記します。
 フランス語の gravure とは彫って作る版画全般を指します。
 (銅版画、木版画共に gravure です)
銅版画の紙と銅版の関係図

エッチング
   腐食銅版画の代表的技法で、銅版にグランドと言う耐酸性の
  ニスを塗り、そのグラウンド液が乾いたところで、鉄筆等で引っ
  掻き、乾いたグラウンド液を剥がし、その銅版を硝酸に浸して、
  鉄筆で引っ掻いた部分だけを腐食させ、溝を作り、その溝にイ
  ンクを詰め、紙に写し取る技法。

   銅版としては一番強い版で200枚以上の版画を刷ることが
  可能です。
  大体500枚〜600枚が良好な状態で刷れる枚数の限界です。

   その描線は均一でドライポイントやエングレービング等よりやや
   弱い線となる。

ドライポイント
   鋼鉄針等で直接、銅版に刻描して、溝を掘る技法。
 彫った線がささくれ立つため、そのささくれがインクのにじみを作る
 ため、描線に強弱が付き、力強い描線となる。
 そのささくれが摩耗し易いため、そのままでは、50枚ほど刷ると、
 ささくれの摩耗により、その強弱の調子が弱くなってしまうのであ
 まり枚数が刷れません。

   50枚以上ドライポイントを刷る場合は、メッキして版を強くして
 から刷るのが通例です。
 メッキするとささくれがメッキで覆われてしまい、メッキ前よりも、強弱
 の調子が弱まります。
 メッキした状態で500枚〜600枚が良好な状態で刷れる枚数の
 限界です。

エングレービング
   ドライポイントと同様に銅版に直接、刻描して、溝を掘る技法
 ですが、ビュランと言う特殊な刃で版に刻描するため、ドライポイ
 ントのようなささくれは出来ませんが、溝の深さは他の技法に比
 べて一番深いために、刷り上がりのインクが一番盛り上がります。
 インクの盛りが多いために画面のメリハリが効き、強い調子が出
 せます。
   刷り可能枚数はだいたいエッチングと同じくらいです。

アクアチント
   柔らかいハーフトーンの調子を出すための、腐食銅版画技法で、
 松ヤニの細かい粉末を使用します。
 松ヤニ粉末を銅版の上に、ケーキに粉砂糖を振りかける様に散らし、
 それを加熱すると、松ヤニが銅版に定着します。
 その上からグランド(耐酸性のニス)を塗ると、松ヤニの部分だけグラ
 ンド液が銅版に塗られず。
 それを硝酸に浸すと、松ヤニは溶け、松ヤニ粉末の付いた部分だけが、
 腐食して、銅版に穴が開き、インクが乗ります。
  手で引いた線とは違い、微妙なハーフトーンを表見する事が出来ます。

シュガー・アクアチント
   アラビアゴムを混ぜた砂糖の飽和溶液を筆に付け、銅版に直接、絵
 や線や面を描き、その上からグランド液を塗って乾かします。
 そして、その銅版をぬるま湯につけると、筆で書いた部分が膨張して、
 グランド液が持ち上げられ、その部分だけグランド液が塗られていない
 空洞が出来ます。
 それを硝酸に浸すと、筆で描いた、砂糖溶液の付いた空洞部分だけ、
 硝酸に溶け、銅版に銅版に穴が開き、インクが乗ります。
 筆で書いた跡そのままのタッチが銅版画で表現できます。

メゾチント
   18世紀までは挿し絵や写真的図版の為の職人的技法としての
 み利用され、芸術的版画技法としては発展してこなかた技法でした
 が、20世紀に入り、長谷川潔が、試行錯誤を重ね、「ビロードの漆
 黒の画面」と呼ばれるほどの美しい黒の表現を完成させた。
 ベルソー(英語ではロッカー)と呼ばれる彫刀で、銅版全体に均等な
 ささくれ傷をくまなく付けます。
 この状態では、インクを乗せて刷ると、真っ黒く刷り上がります。
 そして、そのささくれを彫刀で削り取るように彫っていくと、そのささく
 れが、とれた部分だけインクが乗らずに白くなります。
 つまり黒い画面を白く彫っていく技法です。
 版の強さとしては最も弱く、50枚〜80枚が刷り部数の限界とい
 えます。
 長谷川潔のメゾチントは、刷り上がりの紙の表面が銅版のささくれを
 拾いまさにビロードの様になっているため、版画の染み落としなどの
 修復がかなり困難ですので、保存に特に注意が必要です。

ソフト・グランド・エッチング
   18世紀から利用されてきた技法で、クレヨンとか鉛筆での線描の
 効果を感じさせる技法として、アクアチントと併用される特殊な版画技
 法の1つとして知られています。
   ソフトグランドエッチングは文字通り柔らかいグランド液を使う技法の
 ことで、柔らかいグランドを引いた銅版は直接、触れると形が残ります。
 その性質を利用して、布や枯葉などを置いてプレスするとそれらの凹凸
 の形が版面に残ります。
 それを腐食させて版を作ると布や枯葉の凹凸の形そのままに、版画にす
 ることが出来ます。
   一般的には転写の方法をとって製版する事が多く、その方法は、まず
 グランドを引いた銅版の上に紙を置き、その上から、鉛筆や、木製ペンで
 絵を描くと、その絵を描いた所のグランドだけが紙にくっつき、銅版から
 剥がれ、銅の部分が露出します。
 その版を腐食すると、鉛筆や木製ペンで描いたグランドが剥げた部分だ
 けが腐食され、鉛筆や木製ペンで描いた通りの版ができあがります。


ルーレット
   ルーレットはヤスリ状の小さいローラーが先端に付いている道具を
 使い、他の技法と混用して製版して、複雑な諧調を作り出す技法です。
 池田満寿夫が初期の銅版画によく利用しました。


エリオグラビュール
   写真製版銅版画とも呼ばれ、銅板に感光剤を塗り、写真を焼き付け
 るように写真のネガフィルムを感光剤を塗った銅版に焼き付け、それを
 腐食させて、写真と同じ図柄の銅版を作ります。
 エリオグラビュールのみで制作された銅版画は、線の強弱が無いために、
 全体的に平面的な弱い印象を与えます。
 しかしながら、ルオーはその殆ど銅版画の制作にまずエリオグラビュール
 で第一段階の工程を行い、その上からアクアチントやエッチングで製版作
 業を進め、見事な銅版画を制作しています。

カーボランダム
    アンリ・グッツが10年の研究努力の末、1967年に完成させた技法。

  カーボランダム(炭化珪素)は自然では結晶状で石炭に似ていて、粒
  状あるいは細粒状で、混合された物質を著しく硬化させる特徴がある。

    金属板(あるいはプレキシガラス)などにプラスチック樹脂と粒状の
  カーボランダムの混合物を塗り乾燥させると、硬化した材料が版の上
  で立体的なレリーフとなる。
   こうしてできた版は色の濃淡や構成に多様な変化を持ちながら、イン
  クを保持する特徴がある。
    厚い紙を柔軟に湿潤化して、プレスによってインクを刷り込む。
  この技法は金属や木片など炭化珪素を糊で定着させれば何にでもイ
  ンクを乗せる事ができるため、立体コラージュレリーフができます。

  主にマチエールの表現が必要な作家の版画に利用されます。

  スペイン作家のミロ、タピエス、クラーヴェ等がこの技法を好んで利用した。


ミクソグラフィア
    スペイン語で混合版と言う意味で、メキシコの画家タマヨ(1900〜1991)
  が開発した銅版技法。

    最初に、ロウ(ワックス)に形象を彫ったり、布を貼りつけたり、加熱して
  変形させたりしてロウ原版を造形(彫版)する。
  次に、ロウ原版に石膏をかぶせ、型をとり、これに電気メッキを施し銅を
  付着させ、銅原版を製作する。
  この銅原版にインキを詰めて、プレスで摺る。
  ロウ原版を利用して版を作るため大きな凹凸を持つ版画が制作出来る。

リトグラフ(石版画)
   リトグラフは発見者や年代がはっきりしている、一番新しい技法です。
 発見者はドイツ人のアロイス・ゼネフェルダー(1771〜1834)で彼は179
 6年に、偶然から最初の原理を考えつき、1798年にリトグラフ技法を完
 成させました。

 リトグラフの原理は水と油が反発しあう性質を利用してする版画技法です。

   リトグラフを制作するには表面に無数の小さな穴のある石灰石版を
 利用します。
 (現在では亜鉛版やアルミ板が使われますが、違いは後述します)

 まず、石灰石版に油性のクレヨンやインクで直接図版を描きます。
 その上から水性のアラビアゴム液をかけると、油性のクレヨン等で
 描かれた部分は、はじかれて、クレヨンで描かれていない部分にだ
 けアラビアゴム液が載ります。

 その後乾いた後にプリントクリーナーでクレヨンを落とします。
 (アラビアゴム液には硝酸を混ぜ、硝酸ゴムとします。
 クレヨンの脂肪酸は硝酸により分解して、石の炭酸カルシウムと
 反応して脂肪酸カルシウムとなり、親油性の皮膜を作ります。)
   そしてアラビアゴム膜も水で落とします。
 (表面のアラビアゴム液を落としても既にアラビアゴム液の載っ
 ていた石灰石の表面は、アラビアゴムのアラビン酸の化学作
 用により親水性の酸化皮膜を作られています。)
   これで石灰石版の上にはクレヨンで描いた親油性の部分と
 それ以外の親水性の部分ができます。
 その版に油性のリトグラフのインクをローラで載せると、親油性の
 部分だけにインクが載り、紙に移すと、描いたと同じ図柄が、紙に
 移ります。(左右が反転した図柄となります)

          リトグラフ−版の違いによる表現の違い

石版(暗灰色)・硬度が高く。脂肪への反応は良くないが、緻密で、
        彫刻石版、線描に適している。

石版(明灰色)・硬度は中程度で、石版画に最も適した品質。強い
        エッチ液に耐えられ、調子の階調も充分に表現でき、
        多量の刷りにも耐える。

石版(淡黄色)・硬度は低く、柔らかい石ほど脂肪への反応が良い
       ので、かなりの階調を表すことが出来る。
       多量に刷ると描線が太りやすく、スクラッチによる白線も
       少しシャープさに欠けます。

亜鉛版・・・・・現在はアルミ版に取って代わられ、あまり使われませ
       んが、脂肪に対する反応が非常に良いため、描画の時の
       解墨の調子が、刷り上がると単一になりやすいが、クレヨン
       での描画は、抵抗感があって描きやすく、デリケートでソフ
       トな描画が出来ます。

アルミ版・・・・金属版は亜鉛版も含めて、石の様に多孔質で無いため、
       必ず砂目立てをします。
       砂目立てにより、クレヨンや解墨の描画が出来ます。
       表面の凸凹によって薬液の化学作用を促進し、版面の保水
       性も良くなり、インク盛りによる版の汚れやつぶれを防ぎます。
       アルミ版は亜鉛版より版の潰れが少なく、多数の刷りにも耐
       えられます。
       脂肪に対する反応が石版より強いため、解墨での描画が亜鉛
       版同様に単調になりやすい。
石版画の紙と石版の関係図

フォトリトグラフ
   写真製版石版画とも呼ばれ、石板に感光剤を塗り、写真を焼き付け
 るように写真のネガフィルムを感光剤を塗った石板に焼き付け、それを
 リトグラフ技法で製版して、写真と同じ図柄の石版を作ります。
 フォトリトグラフはは、網点が印刷の様に出るので肉眼若しくは虫眼鏡で
 見ると規則的な印刷網点が出るので判別できます。


オフセット
   オフセット印刷は、手刷りのリトグラフと同じ科学的原理により製版
 しますが、リトグラフは版面から直接紙に刷り取りますが、オフセット印
 刷はインクを版から円柱形のゴム・ブランケットに一度転写して、そのゴ
 ム・ブランケットから紙に刷り取ります。
 この方法により連続して大量な印刷が可能になりました。

シルクスクリーン
   枠に張った絹やナイロンなどのフィルムに感光剤などで図版を謄
 写します。
 直接絹や、ナイロンにマスキングの塗料を塗り制作することもあります。
 ハーフトーン(ぼかし)を表現する事が出来ないので、メリハリの利いた
 作品に向く技法です。

  一版で一色しか表現できないため、色の階調を表現するためには、多
 数の版で何回も刷る必要があるので、版数が多数必要で、リトグラフや
 銅版画より一般的にはコストが掛かります。
 (山形博導の場合ですと、大体1つのシルクスクリーンを制作するために、
 50〜100の違う色版を重ねて刷ります)

 リトグラフや銅版画は絵の具が紙の中に染み込んで、作品となりますが、
 シルクスクリーンは絵の具が紙の上に乗っている状態で作品となっている
 ため、湿気などにより波打ちする事が多く、丸めたりすると絵の具が剥離
 する事もあるので、輸送、保存には注意が必要です。

 シルクスクリーンでは、シルクスクリーンのアクリル系の絵の具と紙の湿
 度や温度による収縮率が違うため、紙の中に絵の具が染み込んでいる、
 銅版画やリトグラフより波打ちしやすいです。

ステンシル(合羽版)
   技法的には日本では伝統的に着物や布地の型染めに使用される技法
 で、切り抜いた型紙の上から絵の具を塗り、型紙の切り抜いた部分がその
 切り抜いた形のまま、下の紙に絵の具が転写されます。

   海外の作家の作品ではマチスの挿画本「ジャズ」がこの技法で制作され
 ました。
 そのほかミロなども初期にこの技法の名品を残しています。

   表現方法としては色面で作品が構成されるため、単純な形で表現される
 抽象画やデザイン的な作品に有効な技法です。

 一見木版画とも似ていますが、木版画は圧力と水分で紙の中に絵の具を染
 み込ませますが、ステンシルの場合は絵の具を紙の上に載せる形となるた
 め、発色は、木版画より鮮やかです。
   ステンシルはシルクスクリーンと同様に圧力を掛けて紙に染み込ませる
 技法で無いため、紙を曲げたり、折ったりすると、亀裂や割れ、剥離を生じ
 ますので、その保存には注意が必要です。

ミメオグラフ(謄写版)
   蝋紙に鉄筆などで穴をあけ、下の紙にローラーで転写する技法。
 技法的にはいわゆる昔のコピーとも言えるガリ版刷りがミメオグラフにあ
 たります。

   版画技法としてはあまり利用される技法ではありませんが、日本では、
 福井良之助がミメオグラフを作品の域まで高めた作家として有名です。

モノタイプ
   技法的には2種類のモノタイプが存在します。
 伝統的なモノタイプとしましてはガラスに絵の具で絵を描いてそれを
 紙に写し取る技法で、モネなど印象派の画家達が使った技法で、
 版画と言っても、出来上がる版画は1枚から3枚程度で更に加筆を
 することもあるため、版画と言うよりは一点物の油絵や水彩画に近
 いといえます。
 しかしながら、オークションでは版画の範疇で競売されます。

 現代アートの作家では版画に手彩色を全面に施した作品をモノタイ
 プと呼び前者のモノタイプとは技法的に全く違います。
 この場合は似たモノタイプが50部や100部出来ます。

ガラス・ステロ版
 バロビゾン派の作家が作品を制作したのみで、一般的な版画技法
 にはなりませんでしたが、ミレーやコローが版画として製作している
 技法です。
  黒色乳剤で黒く皮膜を被せたガラス板にペンや鉄筆で描き、その
 黒色の皮膜を剥がし、それを写真のように感光紙に写し、制作する
 技法です。
 つまり手書きのネガフィルムを作りそれを紙に焼き付ける技法です。

ジークレー版
   最新のデジタルカメラとスキャナー技術を駆使して作成される版画。
 アイリス工房で制作されるジークレー版画はアイリス(IRIS)と
 呼ばれる。
 ジークレー専用のインクジェットプリンターから大きさ15ミクロン
 のシアン、マジェンタ、黄色、黒色の4色の粒子が吹き付けられ制作
 されます。
 だいたい一枚の大判のジークレー版画には数十億粒以上のインク粒
 子が吹き付けられます。

 水性のインクを使用するために通常表面は乾燥した感じに仕上がり、
 見た感じはリトグラフに近い感じになりますすが、その上からシルク
 スクリーンで透明ニスをかける場合はシルクスクリーンの様な仕上が
 りになります。

 ジクリーと呼ばれることもあります。

シバクローム
   通常の写真の現像方法は「発色現像法」とよび、科学変化に
  より、元々色のない媒体の上に必要な部分だけ色を発色指させ
  る技法です。

   シバクロームは「銀染料漂白法」と呼ばれる技法で、アゾ染料
  により色彩を形成する技法です。

   「銀染料漂白法」とは、もともと媒体が持つ色を漂白により除
  去して必要な色だけを残す写真技法です。

   通常の「発色現像法」のプリントは化学変化した色が経年より、
  色あせするため美術品の色彩を保存する方法としては耐久性に
  問題がありました。

   「銀染料漂白法」のシバクロームは元々ある色彩の中で不必
  要な色彩のみを除く方法のため、色彩自身の耐久性は強く、
  経年しても、その透明感や色が損なわれないため、耐久性を
  要求される版画技法として近年よく使われる技法となってい
  ます。

   元になる「アゾ染料」は、衣料の染め付けに用いられるほどの
  耐久性を持ち、透明感や彩度に優れた染料です。

   チバクローム、イルフォクロームとも呼ばれます。

ミックスドメディア
   訳すと混合技法と言う意味で、以前は油絵の具と水彩絵の具の
  両方を使用した、作品の事を通常指す言葉でしたが、ラッセンの
  技法をミックスドメディアと呼ぶようになってから、版画でもいくつ
  かの技法を併用して制作された作品をミックスドメディアと呼ぶよ
  うになりました。

  ラッセンの場合のミックスドメディアは6〜7色の写真製版オフセ
  ットにシルクスクリーン技法で透明なニスを何回かかけて、立体
  感を出しています。
  つまり写真製版オフセットとシルクスクリーンの混合技法と言うこ
  とです。

  ラッセンのミックスドメディアの技法のバリエーションとしまして
  アータグラフとキャンバスエディションがあります。

  アータグラフとは紙でなく、キャンバスにミックスドメディア技法
  で刷った物を指し、そしてラッセンのキャンバスエディションは
  そのアータグラフに一点一点アクリル絵の具で手彩色した作品
  をキャンバスエディションと呼んでいます。

ハンドメイドプリント
   デビッド・ホックニーが制作したカラーコピーを使った版画。

   ラウシェンバーグは同様にコピーで制作した作品をゼロックスと
  呼んでいる。

   類似の技法としては、ラウシェンバーグ等はコンセプチャルアー
  ト(概念芸術)として、ファックスを利用した作品も制作している。

コラージュ
   コラージュとはフランス語で張り付けを意味し、布や紙を貼り
  付けた作品をコラージュといいます。

   作品としてはパブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックがキュビズ
  ムの一つの表現方法としてパピエコレと呼ばれる、新聞や、
  包装紙、布を作品に張り付けたのが、始まりとなります。

  コラージュを利用した版画はファン・ミロ、アノトニー・クラー
  ヴェ、タピエス等により制作されています。

  通常コラージュだけで版画を制作されることは希で、リトグラ
  フや銅版画等の技法と併用で使用されます。

版画技法一覧に戻る
ギャラリーダッドアート
〒143-0023東京都大田区山王1-25-14
TEL 03(5743)7366
FAX 03(5743)7365
東京都公安委員会
古物商許可第302170407573号
1@ddart.co.jp

無断転載禁止



ページトップへ